保護者の皆様、あっ!という間の12月ですね。
来年こそコロナが収束し、発表会が無事に 開催できることを共に願いましょう。
良い年をお迎えください。
さて、白水学園の先生達は、月に一回『今月のありがとう』という表題で、
一緒に働く仲間 の頑張りや目に見えにくい部分への感謝の気持ちを発信し合う機会を設けています。
その時間 の最後に、様々なテーマについてお互いに話し合う時間があります。
今月のテーマは保護者の皆様にも読んでいただきたい内容でしたのでご紹介します。
「頑張れない」「我慢できない」~今の子ども時代に足りないもの~
傷つかないように気をつかう大人たち
子ども達は、失敗することを通して、現実を生き抜くうえで大事なことを学んでいく のである。
それなのに、子どもを教育する立場にある大人がそこを見逃し、
失敗を極力排除しよう と過保護な環境を作ってしまっているように思われてならない。
運動会の徒競走で順位をつけなくなったことが話題になったのは、1990 年代頃だっ たと思う。
その頃、私は教育委員会関係の仕事をしており、
足の遅い子が傷つかないようにとい った配慮から、
そのように足の速さ・遅さという現実に存在する実力の差に蓋をするこ との問題点を指摘したものだった。
大切なのは、実力の差に蓋をすることではなく、
足 が遅いからといってバカにしたり、
引け目を感じたりしないように教育することでは ないかと。
「ほめて育てる」とか「叱らない教育」といったキャッチフレーズも、
1990 年代当 たりから急速に日本に浸透していったが、
これも子ども達を傷つけず、できるだけポジ ティブな気分にさせてあげようという
時代の空気によるものだと言える。
失敗による挫折感を子どもたちに与えない教育法が推奨され、
教師たちは、子ども達 が失敗しないように手取り足取り導き、
また子どもがポジティブな気分になれるよう に事あるごとに褒めまくる。
ここで改めて考えなくてはならないのは、
子ども達が傷つ かないようにという配慮は本当に教育的なのだろうかということである。
そもそも子ども達が傷つかないようにといった配慮が強まってから、
果たして子ど もや若者の心は逞しくなっただろうか。
嫌なことがあっても、思い通りにならないこと があっても、
容易には傷つかず、前向きに頑張り続けられるようになっただろうか。
む しろ逆に、傷つきやすい子どもや若者が増えたのではないだろうか。
失敗を過度に恐れる子や若者が目立ち、
また「心が折れる」というセリフを耳にする ことも多くなり、
教育現場で傷つきやすい子どもや若者の対応に気をつかわなければ ならなくなっている現状を見ると、
傷つけないように配慮する子育てや教育は逆効果 なのではないか。
子どもが傷つかないようにと大人達が過保護な環境を作り、
子ども達の失敗経験が 奪われているせいで、失敗経験が乏しく、
失敗に対する免疫がないため、いざ失敗する と大きな心の痛手を負う。
立ち直れないほどの痛手を負う。そんなことが起こっている のではないだろうか。
~榎本 博明著『伸びる子どもは○○がすごい』より~