くすの木幼稚園 副園長 関恵子
次女に誘われて出かけることが、最近多くなりました。母の日や誕生日にかけて誘われることもあれば、週末に突然帰って来て誘われることもあります。二人で旅行しよう!なんてお誘いも受けました。次女は一人暮らしの社会人二年目。…ここだけ読めば、仲良しの母娘…ととれるかもしれません。
これまでも、幾度となく私の話に登場してきた次女。言い聞かせることができず、怒ってばかりだった子育ての日々。…不安しかありませんでした。『ちゃんと』成長できるのかな…と。特別に何かができるようになってほしいとか、優秀な子になってほしいとか、そんなことを考えていたわけではありません。健康で、親の言うことを聞いて、何でも一生懸命頑張る…親なら誰もが望むと思われるようなこんな姿が、当時の私の『ちゃんと』でした。
ただ、実際の姿は…
極端に少食の次女はガリガリに痩せていて、食事の時間は、躍起になって食べさせようとする私と、食べない娘との闘いの日々。…ただただ憂鬱な時間でした…。
言うことを聞かせきれない私は、病院や銀行の待合の場でじっとさせることができず、でも、人前で怒鳴りつけることはさすがにできず、繋いだ手を自分の握力に任せてギュ~っと握りしめました。…当然、「痛い痛い」とぐずるので逆効果なのですが…。
気分屋で負けず嫌いの次女は、気に入らないことや自分に不利になりそうなことがあると、不貞腐れたり泣き叫んで動かなくなったり…。そんな時は言い聞かせもしましたが、到底無理だったので、とにかく力づくで対応しました…。
素直で、お母さんの言うことを聞いている、『他所のお子さん』と比べては、「なんで言うこときいてくれんと!」と言葉で責め、(なんであの子みたいにできんとよ!)と心の中でも責めました。…私の関わり方は良くなかったと思います。怒ってばかり。嘆いてばかり。自分の経験値だけで、誰かに相談することもせず、決して褒められた子育てではなかったと、それは自覚しています。反省ばかりの子育て。…でも、育ってくれました。あんなに苦しかった食事も、小学3~4年生の頃には人並みに食べるようになり、成長期真っ只中の中学生の頃は主人と同じくらいの量を食べていました。友達や学校でのトラブルも何回あったことか…でも、今は友達もたくさんいるようです。次女に関して、あれもできないこれもできないと責め立て批判ばかりしていた私は、間違いなく懺悔が必要なのです…。
さて、懺悔しながらいろんなことを思い出し、あの反省だらけの子育ての中で、私は何か頑張ったかな…そう考えてみたら、一つだけ浮かびました。それは、言うことを聞いてくれなくても、反抗されても、何度負けても、『ちゃんと』を諦めなかったことです。
今、私が教えていただいている、成果と人間関係を両立させるマネジメントの考え方の中に、『簡単に相手のことを諦めない、相手が予想しているよりも少しだけ長く忍耐する』というものがあります。子育てとマネジメントは違うでしょ、という声が聞こえてきそうですが、相手を成長させたいという点では同じです。この子(この人)は必ずできる。できるようになる。そう信じて、簡単に相手のことを諦めない。相手よりも長く頑張る。…私達親が頑張る内容は、その時その時で変わります。挨拶をさせる、座って食事をさせる、ごめんなさいを言わせる…他にもいろいろあります。その時一回では、できないこともたくさんあります。でも、諦めない。何度も何度も何度でも、できるようになるまで言い続ける。教え続ける。お母さんやお父さんが思っている「こうさせたい」を、子供ができるようになるまで諦めずに教え続けましょう。
…そういえば、次女が思春期真っ只中だった数年前、生活態度(スマホや就寝時間等々…)で小言を言うことも多く、でも、返ってくる屁理屈に論破ができず、その悔しさから私が先に手を出し、やり返され、お互い傷を負うなんてこともありました笑。あれからわずか4年。
…よくまあ、二人で旅行に行ける仲になったものですよね…!