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子育て Vol.66『小さな画面よりも楽しいことを』

                          森の木幼稚園・くすの木学童塾  白水 奈々子 

 夏休み、飛行機に乗る機会がありました。夏休みなので家族旅行客が多く、小さな子供達も沢山いました。若い夫婦が、赤ちゃんや目の離せない年齢の子供達を連れての旅行。すごい!勇気があるな!と感心するばかりでした。
 我が家はというと、初めての家族5人での飛行機の旅は一番下が年長の時。長女は小学6年生でした。行先は『東京ディズニーランド』。それなりに楽しかったと思いますが、慣れない飛行機や電車での移動で色々と気を遣い疲れたのもあり、「次は、友達と行ってね~」と話したのを覚えています。
 子供達がまだ手がかかるうちは、家族旅行と言えばもっぱら近場の温泉かキャンプ場でした。あまり周りに気を遣わなくていいようなところばかりで、公共の交通機関を使う勇気はなかったのです。今考えると、小さなうちから経験させるのも良かったのかな、とも思います…が、外食すらほとんどする勇気がなかったというのが現実でした。外出のお供は、絵本、お気に入りのぬいぐるみ、小さなおもちゃくらいで、後は話をしたり歌を歌ったり、車の中ではDVDを観たり…その程度でした。
 もし今、子育てをしていたらスマホやタブレットを渡し、動画を見せて時間をつぶしていたことでしょう。そして子供もきっと上手に指先を使って好きな時に好きなモノを観て、スマホさえあれば絵本やぬいぐるみなんかは荷物になるだけで、持ち歩くこともなかったのでしょう…。

…いや、違う。便利なものだとは分かっているけど、私はそんなに好きじゃない。私はそもそも子供の頃ゲーム機を持ってなくて、その後もあまりゲームをした記憶がありません。不器用で下手過ぎて面白く思えませんでした笑。だからもし今子育てをしていても、そんなにゲームや動画ばかり見せてないだろうな、と想像しています。あくまでも想像ですが。

 便利なものは、使っていいと思います。子育てが辛くて息が詰まりそうになるくらいなら楽な方法を、そして便利な道具を使って欲しいと思います。
 ただ…それに頼りっきり、任せっきりになってはいけないのではないかな、と思うのです。なりふり構わず子育てを必死にするのって子供が4~5歳くらいまででしょうか。生まれてから、『人』にしていくまでの時期が本当に大変なのです。危ないこととか、迷惑をかけることとか、ありがとうゴメンナサイとか、礼儀とか、教えなくてはいけません。(もちろんその後も教えることはたくさんありますが…)だから、公共の場で走り回ったり大声を出したりする時は、「ダメでしょ!」と言い聞かせることが必要なのです。そんな時にスマホで気を紛らわせることばかりを繰り返していても、子供は大切なことを覚えることができません。

 飛行機の中で大きな声でずっとお父さんに何か訴えている3歳くらいの男の子がいました。通路を挟んで座っているその姉らしき子と一緒に座っていたお母さんは、ソワソワしながら、何度か男の子に声を掛けていました。でも、なかなか静かにならない…。しかも男の子の隣に座っているお父さんは何も注意しない。タブレットのようなものを持たせ、そっちを観るように促し、口にドーナツを押し込んでいました。「飛行機の中では大きな声を出しだらダメだよ。静かにしていようね」と、一度言ったくらいでは聞かないかもしれないけど、言い聞かせるのが親の姿ではないのかな、と思った場面でした。
 確かに、飛行機の中って大変です。私が二十歳の頃、東京に住んでいる姉が入院することになり母と二人で姪っ子を預かりに行ったことがありました。もうすぐ1歳になる姪っ子は機内にいる間中泣きどおし。私と母は交代で、シートベルトサイン時以外ずっと周りに頭を下げながら機内を歩き回ったりあやしたりしていました。どうしたらいいのか分からないし、恥ずかしいし…それはそれは長~いフライトでした。だから分かります、大変だという事は。

 心配なのは、選択肢が動画やゲームだけになることです。移動中などの、一つの手段として用意することはあっていいと思います。でも、いつでもどんな時でも欲求を満たすことができることに慣れてしまうと、それがない状態だとどうなってしまうのでしょう…。もしそれで親の言う事が聞けなくなったらそれはもう中毒状態なのでないでしょうか。

 子供達の未来には、小さな画面よりも楽しい世界が沢山待っています。その世界を見せてあげられるかどうかは親の導き次第です!たまには思い通りにならいことも教えていきましょう。そして、五感を通した実体験を沢山させてあげましょうね!

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