くすの木幼稚園 副園長 関 恵子
くすの木学童塾の担任でいらっしゃる白水奈々子先生(日中は森の木幼稚園)と、交代でお届けしているこの『迷子の子育て』は、子育てもそろそろ終盤を迎えようかとしている私達の子育て回顧録です。もう20年ほど前になる幼児期の子育てを思い返すと、「ああすればよかった」「もっとこんな方法があったんじゃないか」そう反省することも多く、また、目の前で成人していく我が子達を見ていると、ザンゲしたくなる気持ちは沸き上がるし、子育てには実は終わりなんかないんじゃないかと感じるし…。
子育てに悩みはつきものですね。それは、きっとみんな同じ。でも、その悩みが少しでも軽くなったら…。悩みの解決の糸口があったら…。「私だけじゃない」そう思ってもらえる励ましとなれば…。我が子の子育てに奮闘中の保護者の皆様の力になりたい、そんな気持ちを込めて、今年度も配信致します。どうぞよろしくお願いします。
さて、4年ほど前のお話しですが、買い物中レジに並んでいたら、どこかから子供の泣き声が聞こえてきました。「3~4歳の子かな…」聞きなれた(?)泣き声に、そんなことを思いながら買った食料品を詰めていましたが、その泣き声はなかなか止むことがなく…。レジかごを片付けて出口へと歩き始めたところで、その子が座り込んで泣き叫んでいるのが目に入りました。
やっぱり…。泣いているのは幼稚園生くらいの男の子。でも、周りには誰もいない。困ったような店員さんが様子を眺めているだけ。声をかけようと近づきかけて、ふと、そのちょっと先に疲れ果てたような女性が立っているのが見えました。(お母さんかな…)近づくのをやめて、出口を目指す私が男の子の近くに到達するのと、その女性が男の子の傍にやってくるのとほぼ同時でした。
「ほら、もう立って」はっきりと声が聞きとれる距離。もう一度「ほら、もう行くよ」の声。でも…。男の子は泣き叫ぶばかり。さすがに私も立ち止まってその様子を眺めるなんてできませんし、会話はどんどん遠ざかっていき…。角を曲がりながらさりげなく(笑)視線を向けましたが、お母さんとその子は平行線のままのようでした。
…お母さん、頑張って。そう心の中で呟きました。幼稚園でも幼稚園の外でも時々見かけるこんな光景。「お願い、言うこと聞いて!」幼児期の子供を抱えた『お母さん』は、何度そう心の中で叫んだり口にしたりするのでしょうか。目の前の我が子と闘い、泣きたくなるような、放り出したくなるような、そんな自分の気持ちと闘い…。
我が子を何とか泣き止ませようと、言いきかせていたあのお母さん。きっと、我が子を頑張らせたかったのだと思います。…抱っこ?あれが欲しい?何かが言えない?…その理由は想定でしかありませんが、泣き止ませるための簡単な方法もあったのではないでしょうか。我が子の要求を簡単に受け入れてあげれば、きっと泣き止んだことでしょう。でも、その簡単な方法ではなく、大変な方法…言い聞かせることを選んだお母さん。カッコ良かった…! ガンバレ、お母さん! 諦めなければ気持ちは必ず届きます!! 残念なことに(?)いくつになっても悩みはなくなりません笑。それでも、諦めなければ、その時その時を必ず乗り越えることができます。私達もいます。一人で悩まず、抱え込まず、いつでもご相談ください! 一緒に子育てしていきましょう…!
……………ところで、かくいう私も、何度も、何年も、我が子と闘ってきた身。この出来事があった当時、高校生だった次女。担任の先生からお電話をいただきました。全てそぎ落として超簡潔にその内容を言うならば、「言うことを聞きません」…ああ、幼児期から、言い聞かせるの、ホント大変だったもんなぁ…。