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子育て Vol.53『いつの日か…』

くすの木幼稚園  副園長 関 恵子

 今月は、2011年3月号の園だよりに掲載したものを再掲載です。娘達は当時、小5・小2・年長でした。しばしタイムスリップのお話にお付き合いください…!

 時々、子育てを放棄したくなることがあります。
 それは決して、我が子がうっとおしいからだとか、嫌いだからとか、そんなことではなく、むしろ、自分に嫌気がさすから…。もう一度、この子が生まれたトコロからやり直せないだろうか。母親になったあの瞬間に、リセットできないだろうか。そんなことを考えてしまう時があるのです。

 4月から小6になる長女とは、ほとんど身長が変わらなくなり、叱りつける時も同じ目線。不服そうな顔をされると、入れなくていいスイッチがカチンと入り、ついつい罵声を浴びせてしまう…。でももう、見下ろして威圧していた頃(笑)と違い、多少怒鳴りつけたってビクともしなくなりました。次女にしても、三女にしても、何かがあって私から叱り飛ばされても、「またか」という顔をしています。「またお母さんが怒り始めた。しょうがない今は聞いとくか」。叱りながら、子ども達のそんな心の声が聞こえてきそうで、「私は何をやっているんだろう」と思い、「こんな母親になりたかったんじゃない」と思い、そして「立派な子育てなんか私にはできない」と思い、結局「始めからやり直したい」なんてことを思ってしまうのです。
 では、やり直せば今度は立派な子育てができるのか、と問われると、それはきっとNOです。
 多分、何度やり直したところで、私は今とほとんど変わらない気持ちでいるのではないでしょうか。育てる子ども達に多少の変化はあれど、私自身が日々懺悔し、反省し、悩むことには、きっと変わりはない…。なぜなら、私自身が変わらない限り、子育ての仕方も変わらないと思えるからです。

 思うに、私が娘達にカッとなるのは、その姿に自分を見るから。荒い言葉遣いや、気の強い振る舞い。大雑把な考え方や、いい加減な行動。自分が直さなければ…と思っている部分を、まるで鏡を見るように目の当たりにしてしまう。「あぁ、私も周りからこんな風に見られてるんだろうな」「私ってこんなにイヤなヤツ!?」そう思うと、自分への怒りがそのまま子ども達に向いてしまう。まるで喧嘩。…なんて理不尽な。こんな理由で怒られている我が子達って、やっぱり可哀想。…やっぱり、こんな私にちゃんとした子育てなんかできるわけない…。

 「子どもを『育てる』なんて、おこがましいのかも。私達親の方が、子ども達から教わることがたくさんある」。以前、そんな言葉を聞いたことがあります。最近、本当にそうかも…、と思います。鏡の中の自分のような我が子を見るたびに、私自身が正さなければならないことを教えられています。私自身が学ばなければならないことを教えられています。躾やマナーは、しっかりと教えなければなりませんが、人との関わり方や生活習慣は、私自身が正しく振る舞えば、きっと私がカリカリせずとも身に着けさせることができるのでしょう。
 親としての自分には、何一つ自信が持てません。子育ても、そうです。目の前にいる我が子を見ると、尚更です。でも、日頃お会いするお母様方の、なんと立派に見えることか。どうやったらこんな素直な子どもに育てることができるんだろう、どうやったらこんな優しい言葉を掛ける子どもに育てることができるんだろう。…なんて、羨んでばかりいてもしょうがないですね。子どもが生まれた日に時間を戻せなくても、母親になった瞬間にリセットできなくても、私自身が考え方や行動を変えれば、きっと、娘達への罵声は減り、私自身の懺悔や反省も減るのでしょう。まずは、親である私から。子どもという鏡を通して、我が子に恥じない親になれるよう努力しなければ。…と、アタマでは解っているのですが…。

 いつの日か娘達から身長も越され、見下ろされるようになるのでしょう。でも、どうなっても、もう「子育てを放棄したい」なんて言わず、ちゃんと自分と戦います。お母さん、頑張りましょう。子育てに『成功の近道』はありません。泣いても、笑っても、落ち込んでも、我が子を『自立』させる為、戦い続けましょう。
母は強し!ですよね、お母さん!!

 こんなことを考え、書いていたちょうど12年前。確かに、すでに娘達に身長を越されました。社会人と、社会人目前と、高3です。もう叱り飛ばすようなことはほとんどありません。でも、呆れる・愕然とする!ことはあります。イラッとする笑こともあります。子育て間違ったかな…と思うことも…ありすぎます。子育てを放棄せずやってきたつもりですが…思うようにはいかないものですね。…自信を持って「自立させることができました!」そう言える日が来るのかな…。う~ん…。

 願わくは、娘達がいつの日か「お母さん、私、今幸せ!」と言ってくれますように…。

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