毎月一回「今月のありがとう」と称し、職員間でお互いに「ありがとう」を言い合う機会を設け
「すみません」ではなくて「ありがとうございます」が溢れる職場環境を目指している
その最後に様々なテーマからコラムやエッセイを選び、読み合わせをしてお互いに意見を出し
大切にしたいことや学園の方針を違った角度からも理解してもらう機会としている
下記は今月の読み合わせをする内容です。紹介しますね。
(株)博報堂でお勤めで数々の著書もある「ひきたよしあき」さんのコラムです。
将来、保護者の皆様がこのような親になってほしくないからこそ私は様々なメッセージを伝えているのです
『何かあれば、必ず味方』
ある日、大学時代の友人から連絡がありました。
「うちの子ども、今年就活なんだけど、相談に乗ってくれないかな」。
学生時代に色々お世話になった友達です。
私は、会社勤めをしながら大学でも教えているので、
会社の事情も学生の気持ちもわかります。承諾して、スケジュールを調整しました。
当日待ち合わせた場所へ行き、あ然としました。
そこにいたのは学生ではなく、母親。つまり、私の友人です。
「ひきたくんが、どんな質問をするのか、初めに聞いておこうと思って」という彼女。
「子どもは初対面の人が苦手。引っ込み思案なので、
いきなり質問されても答えられないから」と言うのです。
私は、「こういうことはやめた方がいい。子どもが社会人になるには弊害でしかない」
と言ったのですが、彼女は不服そうな顔をするだけでした。
こんな例もあります。人がうらやむような大学の学生です。
体育会の出身で、体格も立派です。
私は、彼に向かって、「どうしてこの会社を受けようと思ったの?」と聞きました。
すると彼は、堂々と迷うことなく言いました。
「母がすすめてくれたからです」と。私は、耳を疑いました。
「それを志望動機にするのはどうだろうか」と疑問を投げかけると、
彼は真面目な顔をして、
「これまで母を喜ばせることをずっとしてきました。ひきたさん、親孝行はいけないことでしょうか」と答えました。
長く、就職活動の相談をしている中での二つの例ですから、特殊なことは間違いないでしょう。
しかし、ここまではいかなくても大学生の中に、
親の「過干渉」をにおわせる発言が増えているのは間違いありません。
親子関係は外からとやかく言う問題ではありません。千差万別。
それぞれの考え方や哲学があるのは当然です。
しかし、テレビドラマのような「恋人や姉妹のような親子関係」を夢見るのはちょっと危険です。
「母親の望む会社に入りたい」と就職試験の面接で言うような大人に育ってしまうことになりかねません。
小学生も高学年になれば、だんだんと親の入り込めない「社会」を作っていきます。
成長とは、この社会が広がっていくことでもあります。
親からすればさびしい面もありますが、干渉するよりもまず、
「何かあった時は、必ず私が味方する」と胸をたたき、見守ることが大切。
その大きさ、その熱さ、その広さこそが「親」という存在なのですから。
ひきたよしあき「大勢の中のあなたへ2」より