理事長BLOG

たけしのつぶやき 姉の命日

今日は13回目の姉の命日です。

今、僕が幼稚園の後を継いだのも、実は姉の死がきっかけでした。ちょっとだけその話・・・

 

小学校の先生をしていた我が家の自慢の長女。小さな時から成績優秀、スポーツはテニスをしており、私と違い本当にできた人でした。母が小学校の先生をしていたこともあり、小さな頃から「先生になる」という夢を持っていました。そして、両親がとても厳しかった我が家において、僕は小さな頃から姉を心のよりどころにしていました。

そんな姉も婚期が少しだけ遅くなり30歳になった頃、音楽サークルで知り合った素敵な方とようやく結婚することになりました。挙式日は母の誕生日である1月15日。場所は当時私が勤めていたホテル日航福岡です。

正月休みには「最近お腹が出てきてドレスが入らんかも・・・」と言って家の庭でガンガン縄跳びを飛んでいた姉の姿を思いっきり笑っていた私でした。

結婚式も無事に終わり、週末を利用してハネムーンにでかける予定でした。

しかし・・・1月17日忘れもしない衝撃が走ります。(この日は神戸大震災もありました)

夕方、会社に珍しく父から、細々とした声で電話が入ります。

「すぐに○○病院に来い」

「どげんしたと?」

「いいから来い」

とにかく急いでTAXIに乗り、夕日が差す、誰もいない病院のロビーに着きました。

そこには泣き崩れる母の姿と、肩を落とした父の姿がありました

「どうしたと?」私が恐る恐る父に聞くと

 

「癌で余命3ヶ月って・・・・・もう・・・だめやって」

 

「・・・・・」

「嘘やろ!だって今日も仕事行ったし、正月には縄跳びばしょったバイ!!!」

「・・・・・」

そこには今まで見たことのない父の号泣した顔と、泣き崩れる母の姿がありました。

少し胃が痛むので、週末からの新婚旅行に備え、病院にいったのがきっかけでした。

 

そこから、私の人生も転機を迎えます。父から

「もう、ホテルは辞めて幼稚園を継げ・・・」

私は「わかった・・・」としか言えませんでした。社会に出て5年目。本音を言えば自分の中ではとても充実していたのですが・・・親の姿をみれば何も言えませんでした。

さっぱりわからない幼稚園の仕事。女性だけの職場でのとまどい。そして父と母と私と結婚したばかりの夫での看病生活。戸惑う毎日でした。そして、姉には当然「告知」はしていません。告知が一般的ではなかった時代でした。治る見込みがない姉の看病は辛い思い出です。でも、よかった思い出もあります。それは、姉との昔話から、学校の先生のやりがい、旦那さんと出会った事などたくさんの話をすることができたからです。もしかしたら、今まで話してきたことよりも、この入院生活で話したことが多かったかもしれません。それから家族の結びつきが強くなったこともよかったことでした。両親が非常に忙しかったので、この姉の闘病生活があったから家族というものを考え直すきっかけになりました。

・・・余命3ヶ月を過ぎても、姉は頑張っていました。苦しい抗がん剤の治療にも耐え、髪は薄くなり顔色はどす黒くなっていきました。

そんな時、珍しく、僕に「お願いがある」と言って「さっきTVのCMでありよった、ブルボン製のデザート・・・名前は忘れたけど買ってきて!」と頼まれました。しかし、私はそれを見つけることができず「なかったよ」と簡単に済ませてしまったのです。今となっては、もっと何店舗も回り、ブルボンに電話してでも聞けばよかったのにと、激しい後悔をしています。

・・・暑くなった7月。もう長くはない覚悟はしていました。しかし、ヤマは年長キャンプ(一泊)と重なっています。 「最悪、死に目に会えんかも・・・」 しかし、姉は頑張りました。僕がキャンプから帰ってくるのを待ってくれていました。

もう、眼の焦点はなかなか合わないのですが、酸素吸入器を自ら取ろうともがいています。母が取ってあげると、何かを必死に伝えようとしているのですが、言葉になりません。

でも、僕にはこう聞こえたのです。

 

「悔しい悔しい・・・でも、ありがとう ありがとう」って

 

最後まで、誰にもわがままを言わずに黙々と闘った姉でした。

「また、教壇に立ちたい」という願い

「早く子どもを産みたい」という想い

「先生ってとってもいい仕事だよ」と私にくれたアドバイス

本当に無念であったと思います。僕はこの姉の死によって幼稚園を継ぎました。僕は姉のように教壇に立ったことはないけど、先生達を幸せにしてあげたいと誰よりも思ってます。

13年間、あまり人には言えなかった 「姉の死」

でも、今日は、なぜか書いちゃいました。

「ねえちゃん!俺はこれからも頑張るけんね!天国で見とってよ!」

 


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