もうすぐ母の日ですね。

幼稚園でも、子ども達にお母さんの日頃の頑張りや大変さを話し、

ありがとうの気持ちを込めてプレゼント製作を行う等しています。

さて、今回は、一人のお母さんの頑張りについて紹介します。

私とS君とS君のお母さんとの、ちょとしたエピソード・・・。

 

 

入園当初から挨拶ができないS君

 

玄関で一言も発しないし、目も合わせない

 

お母さんもうろたえている

 

僕も必死でS君と挨拶の格闘を繰り返す

 

時には、リュックも水筒も投げ出す始末

 

そんな日々が続く

 

お母さんは、言うことを聞かない我が子に翻弄され、

 

傍観していたが、

 

悩んでいるように見えた

 

時期を見て私はお母さんに伝えた

 

「お母さん、我が子に負けていないですか？

 

好きにさせすぎていないですか？」と…

 

それからお母さんは少しずつ我が子と向き合い始めた

 

優しいだけだったお母さんが

 

「お母さんは許さない」という毅然とした態度に変わってきた

 

挨拶をしない我が子に

 

時には自分で言い聞かせ

 

時には我々と一緒に言い聞かせた

 

時には１０分以上も我が子と戦っている日があった

 

そんな日々が一ヶ月余り続き、遂にその瞬間が来た！

 

「えんちょうせんせい…さようなら」

 

と、か細い声であったが、僕の目を見てS君は挨拶ができた

 

僕には小さな感動があった

 

そして、お母さんから感謝の言葉をいただいた

 

でも、僕は思った

 

「もちろん頑張ったのはS君だけど、

 

一番頑張ったのはお母さんですよ」と…

 

挨拶一つですが、「他の子はできるのになぜうちだけ…」

 

きっとそんな葛藤があったと思います

 

 

こうやって、思うように行かないのが子育て。

 

そんな時に幼稚園に丸投げするのではなく、

 

我が子の性格のせいにするのでもなく、

 

自分の子育てを振り返り、

 

親が我が子と向き合う大切さを

 

改めて僕に教えてくれたS君親子。

 

今ではS君は大きな声で挨拶ができ、

 

僕とも普通に会話を楽しんでいます。

 

こうやって小さな壁を乗り越えながら

 

親は親になっていくものだと思っています。